彼女に捧げる新世界
ピピッと電子音が聞こえ、男はポケットの中から端末機を出した。
液晶の画面を見つめ、口端が上がる。
ビンゴ!
と心の中で叫んだ。
画面には地図が消え、アンノウンと表示されている。
恐らく対象の出現により機械が正常に機能しないのだろう………。
もともと磁場に異常があるこの地、地図が途中までしか表示されない事はわかっていた。
だが、今回は違う。
地図だけでなく、未確認のエネルギーの放出を検知しているのだ。
幸い物体の動きは遅い。
この力を手に入れる事が出来たなら、新たなエネルギーとして利用出来る可能性もある…………。
むしろ使いたい。
都市機能を向上させ、機械に頼る世の中を変える。
端末機を見ながら男は走った。
スニーカーじゃなくたって革靴のほうが履き慣れているし、多少の怪我など今はどうでもいい。
神とやらを捕らえてみようじゃないか。