彼女に捧げる新世界




車から降りたカイトについていき、とても高い建物の中に入った。



市街地を一望出来る高さと、位置……。

滑るように昇るエレベーター。



瞬く間にすごい高さを進む中、ミラはぼんやりと雷鳴の鳴る空を見ていた。


雲間からチラチラと光る雷、遅れて届く轟音。



懐かしいのかもしれない……。


不思議と激しい雷鳴が怖いとは思わなかった。









ポーン、と音がして扉が開くと最上階のようで強風というより暴風。

そう広くないところで、落下防止のための柵に囲まれた場所、


所々に長い針のようなものが数本、空に向かって伸びる。




「あれは?」


「避雷針だ、都市には必ずあって安全のためと、そのエネルギーを電気に変換している」



「そう………。

わたしは何をしたらいいの?」



中心に向かう彼に問う。

ゴロゴロと鳴り響く雷は今にも落ちて来そうだ。




< 61 / 205 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop