彼女に捧げる新世界
車から降りたカイトについていき、とても高い建物の中に入った。
市街地を一望出来る高さと、位置……。
滑るように昇るエレベーター。
瞬く間にすごい高さを進む中、ミラはぼんやりと雷鳴の鳴る空を見ていた。
雲間からチラチラと光る雷、遅れて届く轟音。
懐かしいのかもしれない……。
不思議と激しい雷鳴が怖いとは思わなかった。
ポーン、と音がして扉が開くと最上階のようで強風というより暴風。
そう広くないところで、落下防止のための柵に囲まれた場所、
所々に長い針のようなものが数本、空に向かって伸びる。
「あれは?」
「避雷針だ、都市には必ずあって安全のためと、そのエネルギーを電気に変換している」
「そう………。
わたしは何をしたらいいの?」
中心に向かう彼に問う。
ゴロゴロと鳴り響く雷は今にも落ちて来そうだ。