彼女に捧げる新世界
一滴が落ちる、
その瞬間だけ風が止まったかのように真っ直ぐに落ちて、固い地面を彩った。
「…………」
「………」
「…………」
「何もおきないよ?」
じっと血痕を見つめるが変化を感じない。
ミラは思わず言ってしまったが、カイトは黙ったままだ……。
「…………???」
ハッと顔を上げると、さっきまでの暴風は嘘の様に止んでいる。
何が起きたのかわからないが、血を見つめていたカイトが目を見開き、抱えていた書物を投げた。
「っ!!!?」
「なに……!?」
「来るなっ!!」
一体何が起きたのかもわからないままミラはその場に硬直する。
カイトが荒い息をつきながら顔を覆う、
そして異変に気付いた。
雷鳴が消えていることに…………。