彼女に捧げる新世界
夜はこんなに暗かったか………?
停電だとしても予備電力で最低限の街灯などがあるはずだ。
風も止み、雷鳴さえ消えた。
音さえ、少ない………。
目の前のミラの声と、自分の息づかい。
それだけ………。
そして一瞬頭を過った映像、
黒い塊のようなものの中から光る眼のようなものと、
白い足。
確実に目が合った!
こちらを見たのだ………。
全身に怖気が走り、背筋に冷たい汗が流れる。
毛という毛が逆立つような不快感と、血が沸騰するような感覚に、冷えていく体。
来るな、そう言うのがやっとだった。
アレはヤバいなんてもんじゃない、
見てはいけないものだ。
本能が警告するのがわかった…………。