彼女に捧げる新世界
漂う意識の中に、覚えのある香りがした。
ながくあった微睡みが冴えていく………。
雑な呼び出しだ。
無理矢理にして、強引。
雷まで利用してとは小賢しい………。
糧を作り、血まで使うなど、彼女に傷を与える事など赦されない。
チラリと見つめた男の顔を見て納得がいった。
近いものか正反対なものは反発と引き合いをする。
磁石の力に似たものを利用すれば魔力は増大する、躯が作りやすくかつ魔力を集めやすくなるのだ……。
呼び出しに応えるのはしばらくぶりだ………。
覚醒していく意識の中、集まり始める力を利用し彼女を描く。
まるで、水面からのぞく世界のように膜が邪魔をするが、力任せに突き破って行った。
あの男からは代価を払わせなくてはならない。
安いものなどでは腹が収まらない………。
お前が呼んでしまったものに大いに後悔しろ………。
このような世界など……焼け野原にしてやろうか………?