彼女に捧げる新世界
本当に存在するのならな………。
画面に点滅する物体は樹海の奥に向かっている。
道さえなくなるほど深くまで入り込んだのは初めてだが、視界が常とは違う。
まるで光の粒子………。
細かいダイヤモンドか、輝く噴水の飛沫か……。
何か、具体的には言えないがそれらしいものが物体の足跡となっている。
鬱蒼と生い茂る木々を抜けた先で、
それと遭遇した。
滑らかな長い髪は腰を越え腿にかかり、ロイヤルミルクティーに近い柔らかな色。
女性と見える華奢な体つき、淡いもえぎ色のワンピース、細い手足。
きれいな肌、嗅いだ事のない香………。
腰につけたベルトから銃を引き抜く。
すぅっと視線を鋭くし、呼吸を整える。
対象は動かないまま。
頭の中で、数字をカウントする。
3………2………1………。
今だ!
「動くなっ!!!」
音もな無く背後まで忍び寄り、銃を突き付けた。
いくら人外だとしても、ショットガンならと思った。