彼女に捧げる新世界
鮮やかな金糸に白い衣服、重なる音域の声………。
闇の中では鮮烈に目立つ姿の少女は、カイトを守るように立ち、無表情にニルを見つめた。
「エルファリア…」
「立てますか?傷は軽いようです、ここは私に任せて行きなさい」
グッと立ち上がろうとする彼に視線を向けることもない。
もちろんニルが見逃すはずもなく、ミラに押さえられたまま、自分たちを囲むような籠を作った。
「何者かはどうでもいいけど、邪魔しないでくれない?」
「私の管理不足が祟ったのか、密入国者が増えたようです……」
「管理者ならその男に首輪でも着けて繋いでおきよ……、
勝手に呼び出されて不快なんだ」
ニルの視線に動じることもなく向き合えるエルファリアは並みではない。
響く声にさえ力を感じ、ミラはどうすればいいのかわからなくなる……。
穏やかな会話に見えても、ニルは確実に不機嫌だとわかっているからだ。