彼女に捧げる新世界
「………あなたの機嫌など私の知った事ではありません。
立ち去りなさい、悪霊」
毅然とするエルファリアはニルに悪霊と言い放った。
おそらくは計測の出ない存在であるから、そして彼の放つ不可解な力からだろう。
クッと笑う気配がして見上げれば、ニルは牙を覗かせて笑っていた。
「大した女だね。俺を悪霊などと呼ぶなんて、
人間でも動物でもないお前に霊的なものを何故理解できる?」
機械は不明確なもの確信しない。
表示できない存在は現さず、沈黙する。
お前こそ何者か?
ニルは冷静にそう考える。
来たばかりの世界の情報全ての把握は難しい。
人間よりも遥かに早く理解できるといっても、流れこむ知識から必要なものだけを拾い、繋げていくのも億劫だ…………。
確信を突いたのか彼女の表情が変わった………。