彼女に捧げる新世界
「私は…………、」
言うべきか迷った………。
ここには自分と、秘密を知るカイト。
その他には異世界の彼女と連れ………。
言ったところで問題はないが、複雑だ。
本当なら自分はここにいない………。
“生きて”いるならば。
魔王という存在を初めて聞いたとき、純粋に驚いた。
一方では、夢物語だと否定する情報。
実在しない存在を“私”は肯定できなかった。
秩序を守るのも、私の務め……………。
混乱を起こしてはいけない。
それが“私”の決定だった。
なら私とは?
秘密にしなければならなかったのは、それが人道的ではなかったからで、
ここに国民はいない。
魔王の計測は叶わないし、その知識がどれほどかもわからない。
秘密にする意味も、人でさえないそれには無意味かもしれない…………。
迷った彼女は、ゆっくりと瞬き口を開いた。
「私は、人を核とした機械。
イスキアの全ての情報と都市機能を司るシステムです………。
あなたのおっしゃる通り、私は生命体ではありません」