彼女に捧げる新世界
「ニル」
ギュッと引っ張った。
ミラを見る瞳は穏やかで、優しく抱きしめられる。
「なに?ミラ………寒くなったの?」
「違うの………」
「じゃあ……なに?」
魔王を呼ぶ詳しい理由はわからない。
力が欲しいのかもしれないが、どうもそれだけとは思えず。
彼を見つめ、迷いながら言った。
「話だけでも聞いてあげよう………?
魔王を呼ぶなんて普通は考えないと思うし、何かあると思うの」
そう、何か特別な理由。
ミラに言われてはさすがのニルも考える………。
可愛い彼女の頼みだ。
全てを叶えることは出来ないが、可能なことならしてあげたいのが本心だ。
「…………いいよ。
話だけども聞いてあげる、叶えるとは限らないよ」
ミラを抱きしめたニルが二人に言った。