彼女に捧げる新世界
秘された過去
あの日、
学生生活が変わった日。
全てはあの日から始まりだったんだ。
約三年前の夏、
イスキアは軍事国家と言っても上っ面だけで、軍学校に入学するのは楽だった。
むしろ当時ならお気楽な学生生活だとさえ思われていただろう。
男女問わず兵役の義務があったとはいえ、その学校を卒業すれば兵役は免除され、訓練を受ける必要がなかったからだ。
あの時はその学校に入った二年目で、中弛み……といえばそうだったかもしれない。
必要な単位は春の内に取得して、取りたい授業だけを適当に参加したり、寮ですごしていた。
他人からどう見られていたかは気にしていなかったし、“将来”はそれなりにいい仕事に就こう………。
と、ぼんやり考えていた。