彼女に捧げる新世界
ミラは突然の鋭い声に飛び上がりそうなほど驚いた。
心臓が一気に縮み上がり、呼吸がうまくできない。
何もわからない場所で突然の声、もうどうしたらいいのかもわからずに体を硬くした。
「…………」
「…………」
沈黙が流れ、冷や汗が垂れる。
振り返るのが危ないような気配は掴めるが………。
迷うミラに男が口を開いた。
「両手を頭の後ろに当て、ゆっくりとこっちを見ろ。
妙な仕草があれば打つ」
指示に従ったほうが良さそうだと思い、ゆっくりと振り返る。
後ろにいたのは細身で長身の男だった。
見たことのない装いだと思いながら視線を段々あげ、顔にたどり着いた瞬間。
時が止まった。
口が震え、瞬きが出来ない。
目を皿のようにする、というのは正にこの事だろう。
たっぷり見つめたあとにようやく口が動いた。
「ニ…………ル……?」
男はニルと瓜二つと言っていい姿だったのだ………。