彼女に捧げる新世界
事件から数日後、夏期休業に入り半数以上が里帰りしていく。
テロに対する不安を感じ、それなりの設備のある学校に残った者も、成績不審の補習の者もいた。
理由は違うが俺も残った一人で、教官達も休暇に入ったため授業がなく、適当に外出することにした。
事件があったにも関わらず市街地は混雑していて、あちこちでセールのマークや大きな荷物を配送する車の列が出来上がる。
様々な人種や、暑い中仕事のやり取りをする人々、迷子らしき泣きわめく子供。
今は寮生活をする学生だから現実身がわからない、けれど近い未来この中に紛れていくのか………。
と、微妙な気分だった。
外が暑いせいでうまく思考が働かないからだったのかもしれない。
少し進んでいくと若者向けの店が連なり、同年代くらいがたくさんいる。
いろいろなデザインがある………色も。
それらをゆっくりと見ながら歩いていると、
ツンツン、と肩をつつかれた。