彼女に捧げる新世界




振り返ろうとした瞬間、


「お願い、そのまま聞いて」


と、緊張感漂う声が聞こえた。

幸い今の通りは人通りが多く、端にいても待ち合わせくらいにしか見られないだろう。


それに…………聞き覚えのある声だ。


「………リア=カーティス」

「はい」



早い返答だが声が震えている。

周囲からは自分の身長で小柄な彼女はうまく隠れるとは思う………。


普段と明らかに様子の違う彼女に少し驚きながら、状況を理解する事が先決だと思った。




「どうした?」


「秘密を見てしまいました……」

「何の?」


「見てはいけないものだった!
私、殺されるかもしれない」



動揺しているのか、震えた声や質問に対する答えも正確でなく、

殺されるかもしれない、とまで言っている。



一体何がどうしたと言うのか………?



意味はわからないが、追われているとすれば停止は良くない。




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