彼女に捧げる新世界
「来い」
掴んだ腕の細さに少し驚いたが、引っ張っていく。
何があったかは知らないがヒステリックを起こされても困るし、あの状況では痴情の縺れだと思われても困る………。
めんどくさいが状況を聞かない限り離しても貰えないだろうし。
レストランが軒を連ねる通りまで歩き、人の多いかつ出入口から死角のある席を見つけ、奥に押し込む。
いつもは質問攻めにあうのに、彼女は憔悴した様子で俯いていた。
「………初めに言うが、俺はお前の友人じゃない。
それなのに何故俺に言い出す?」
むしろ関係など持ちたくない。
リアはうつ向いたまま、ぽつぽつと話出す。
「わかってます……。でも、関係があったから……」
「何にあると?」
意味がまったくわからない。
そう思いながら問うと、小さな指先が俺を指した。
「俺に関係があると?」
「そう、です。
これはきっと………国家規模で危ない秘密。
法に触れるもの……」
それと俺が何の関係があると言うんだ?
違法な事をした覚えはない。
しかも国家規模だなんて大それたこと………。
あり得ないだろ?
そんなこと、普通に捕まってる。