彼女に捧げる新世界
画像や網膜、毛細血管、指紋………。
「私は照合できないけど、恐らく父は最近のあなたの画像を見てる。
テキストを送信するだけで精一杯だったけど……」
納得がいった部分もあった。
常識はずれの学力、記憶、身体能力、容姿………。
天然とは言い難い独特の雰囲気。
造形物なら科学者達の理想を詰め込まれていてもおかしくない。
「これが画像です」
そう言ったリアが見せたものはごく最近の俺の姿だった………。
いつ撮影されたのかわからないが、一人の時。
画像の隣には数行の言葉、
XX日、午後7時。
No.9はデスクに向かい自習中、目立つ変化はなく安定している様子を確認。
言葉を失うには十分過ぎた。
俺の現実が粉々に崩れ落ちる………。