彼女に捧げる新世界


リアは何故か涙目だった。

それでも、俺の感情は動かない。
自分のことを調べ直し、真実を知った日からは全てがくすんで見えた。



悲しかった?

寂しかった?


違うな、苦しかった…………。


偽物の両親とはそれなりに仲がよかったし、愛されている………そう錯覚するほど甘やかされた。

小さい頃から何一つ疑う事のなかったものが、実験の一つで社会適応のためだったなんて思うわけがない。



涙も出なかった。





泣きたかったといえばそうだった、けれど泣く暇さえ時間の無駄だと思う。



俺の真実を知る者を消せば今までのように生活できると思った。



「どうした?」


「殺す必要があるの!?
連続殺人事件………、疑いたくないけど……カイトじゃないの??」



必死だな、



………………今さらだ。





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