彼女に捧げる新世界




「カイトっ!!!!」


歩いていた俺に、突然グイっと力いっぱいに肩を押され、それと一緒に倒れ込んだ。


一体何が起きたのか、一瞬すぎてわからない………。



なんとか突っ込んできたそれを掴むと、細い骨の感触と柔らかな肉を感じた。


…………?



そして、生暖かいものも。



ヌルリとしてべたつくような何か、ゆっくりと手を持ち上げてみると…………。


血だった。



何が………?


何が起きた?
状況を把握したいが、倒れたそれをゆっくりと持ち上げ、



絶句した……………。




「っ!!!?」

口は動くのに言葉が出ない。



震える手で慎重に触れる、乱れた髪をよけて顔が見えた。

いつもは健康的な肌が病的に白い。



細い金糸に散る紅が鮮明に視界を占め、心臓が止まった気がした。
< 98 / 205 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop