彼女に捧げる新世界
「カイトっ!!!!」
歩いていた俺に、突然グイっと力いっぱいに肩を押され、それと一緒に倒れ込んだ。
一体何が起きたのか、一瞬すぎてわからない………。
なんとか突っ込んできたそれを掴むと、細い骨の感触と柔らかな肉を感じた。
…………?
そして、生暖かいものも。
ヌルリとしてべたつくような何か、ゆっくりと手を持ち上げてみると…………。
血だった。
何が………?
何が起きた?
状況を把握したいが、倒れたそれをゆっくりと持ち上げ、
絶句した……………。
「っ!!!?」
口は動くのに言葉が出ない。
震える手で慎重に触れる、乱れた髪をよけて顔が見えた。
いつもは健康的な肌が病的に白い。
細い金糸に散る紅が鮮明に視界を占め、心臓が止まった気がした。