優しい手【短編】
優しい手

ドクンドクン



鼓動が早まる。



あなたの手が伸びてきて、私の髪をすく。



ゆっくりと引き寄せる腰に当てられた手は、やっぱり優しい。



ドクンドクン



あなたといると、
鼓動の速度が二倍になる。



「ねえ、知ってる?」



今にも唇が触れそうな距離で彼は首を傾げた。



この距離で次の行動を止めたかのように言葉をかけても不服そうな顔1つしない。



「生物が一生の内に脈打つ回数って決まってるんだよ」



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