優しい手【短編】

「それは……困るなあ」



彼はそう言ってはにかんだ笑顔を見せる。



「そしたら俺、早死にかも。
寂しい思いさせたくないのに。ごめんな」



また、私の髪を優しく撫でる。



それが心地よくて私は目を細めた。



髪に神経があるかのように彼の指先が触れるたびに神経がそこに集中する。



「私だって一緒。
今も、寿命縮む速度倍だよ」



その言葉に彼はハハッと笑った。



「じゃあ、早く結婚しちゃおっか。
2人で早死にして他の人より一緒にいれる時間少なくなるの嫌だし」



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