終わりなき想いの果てに
―― 悲しみを宿した、紫の瞳。

そう思ってしまうわたしは、どこかおかしいのだろうか?

それとも、この美しい悪魔に既に魅了されているのだろうか…


見つめ合うこと数秒。

何もなかったかのように視線を逸らしたディガルは、砕けた手鏡に手をかざし、バラバラだった鏡を元の形に戻した。

「あっ‥!」

手を伸ばしたわたしよりも早く、ディガルは自らの黒い衣に手鏡を隠した。

「わたしの鏡よ。わたしが買ったんだから」

自分でも驚くことに、わたしはディガルに向かってそんなことを口走っていた。

「この不吉な鏡を欲しがるとは。セーラ、おまえは余程の恐いもの知らずとみえる。それとも、わたしと同族なのか…」

薄笑いを浮かべながら、それでも手鏡はわたしの手に渡された。

―― 黒い汚れが消えてる…?

「わたしは悪魔なんかじゃないわ。それに、この鏡は不吉なんかじゃない。だって、あなたはここから抜け出しているんだもの」

最初に感じた恐怖は、少しずつわたしの中から消えていた。

何故かはわからないけど、この悪魔のようなディガルと、もっと話したいという欲求が頭をよぎる。


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