P.S.私は幸せです
「美菜子ちゃん、こっちー」


会議室に足を踏み入れた途端に、部屋に声が響いた。


あの高松さんが私に向かって笑顔で大きく手を振っている。


ちょっとだけ注目され、身体が固まった。


呼ばれたからには行かなければならない。


一応、先輩だ。


私は、高松さんがあらかじめ取っていた席に腰を降ろした。


「おはようございます」


「あれ、なんか他人っぽい」


やばい、間違えた。


ということはやっぱりーーーー。


「嘘。おはよう」


もう一度笑顔で挨拶をし直した。


しかし、高松さんはこれで騙されてはくれなかった。


「美菜子ちゃん。もしかして昨日のこと覚えてない?」


「いや、覚えてますよ」


そうくることは予想していたので、動揺せずに答えた。


「ということは、あの俺の告白が嘘でまやかしだったとー・・・」


つもりだったのだが、表情が不本意にも固まってしまった。


それを見た彼は、ショックを受けた顔をしているように見えた。


「マジかー・・・俺は「じゃあ、次回のキャンプについて会議始めまーす」


彼の言葉は司会に遮られ、とりあえずこの場は収まった。
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