珍品堂都立家政店
◇購買履歴其の①
ゲリラ豪雨に見舞われた、ある日の仕事終わりの帰り道のことだった。



会社がある西新宿から西武新宿駅まで歩いているとき、


「やべ、雨降ってきたわあ」、


と思ったのもつかの間、


加速度最高速で雨は本降り。


雨粒がアスファルトの地面に落下する度に、


ゴッ、ゴッ、と激しい音。


身体に当たるそれも、痛い。


「最悪や、最悪や」、


と雨の中を西武新宿駅に向かって全力疾走。




なんとか駅までたどり着いたときには、全身ずぶ濡れで、


ここでも人に聞こえるか聞こえないかの声で呟いてしまった。


「最悪や」


まあ、そんな状態のままで黄色い各駅電車に乗り込んだ。


幸いなことに人も疎らで、難なく座席に座ることができた。


「ふー」、


と一息付き、目を閉じた。


すると、そのまま浅い眠りに就いてしまったようで、


野方駅に到着したことを伝える車内アナウンスで目を覚ました。


次で降りなきゃ、と思い、座席を立ち、


進行方向最前列を目指して歩き出した。
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