犯人
その時、青年はようやく

口を開いた。



「例え誤ってだとしても

警察に自首しなければ

だめですよ。


あなたの場合なら、相手が

悪徳な詐欺団体の人間なのだから

罪は軽くて済んだはずなのに。

それに、そいつの持ち物から

何か詐欺組織の手がかりが

得られたかもしれない。」



「わたしも、今冷静になって

考えてみればそう思います。

でもあの時はとても

混乱していたのです。


刺してしまった後

わたしは怖くなって家を飛び出し

わけもわからず走りました。


そしてここにたどり着き

あの時の事を思い出して

しまうので、せめて包丁に

ついた血を洗い流したいと

思ったのです。」
< 7 / 10 >

この作品をシェア

pagetop