二つの愛
「姉に恋人がいるのは知ってましたがあわせてはくれませんでした」「たぶんもう自分の余命を知っていたからでしょうか」

「瑠璃君は彼氏はいるの?」「いるんですけどうまくいってないんです」「いるんだ」「いますね一応は」「仕事で忙しくて、それに転勤で東京に行ってしまったので遠距離恋愛なんです」「そうか」

ほんの1週間に1回でも2回でもいいこうやってあって美穂との話を聞かせてくれないか?「お願いだ」-+

「いいですよ」「そんなことなら、」「瑠璃さんはあそこの喫茶店だけ?」「いえ、作家をやってます」「なかなか本がうまく売れなくて」「そう」「本さえ売れればもっと生活が楽になるんですけど」

「作家を・・・・・」「ええ」「携帯小説を書いているんです」「へえ 携帯小説?」

瑠璃は長い髪を解き分け書き上げる癖があった、それまで美穂と一緒だった。

君といると君のお姉さんを思い出すよ、大切だったとても。

彼女をなくしてからの僕は、あれてアルコール付けだった。

「救ってくれるかい僕を」「救うだなんて」「思い出話ならできますよ」

「それで貴方の心が癒されるなら幾度でもします」(瑠璃はそう約束してくれた)

帰りがけ、タクシーを降りた僕らは不意に瑠璃を抱きしめた

瑠璃が一瞬びっくりした顔で振り返る・・・・・・・・・・・・・・・


「いや、ごめん君は美穂じゃないんだね」
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