黄昏色に、さようなら。
良子ちゃんは、私がこの夢の話をした時に眼を輝かせて、
『夢は願望の現れだっていうよ。
それは、風花が好きな男の子と手に手を取って逃げたい、
つまり、『駆け落ちしたい』って心の何処かで思っているからじゃない?
ついでに言えば、何かに追われたいM願望の発露!』
と、ニコやかにのたまった。
まあ、M願望は無視しておくとして、
だとすれば、私は『純ちゃんと駆け落ちしたい願望』があるってこと?
んなバカな。
確かに好きだけど、
それは、例えば『お兄ちゃん』が居たらこんな感じだろうって言う、言わば肉親への情に近い。
そう、家族よ家族っ。
だって、いつまでオネショしてたとかまで知ってる仲なのよ?
けっして、手を繋ぎたいとか、
まして、
キ、キ、キスしたいとか思っているわけじゃなくっ!
ぴぴぴぴ――。
ベッドの上で一人、
脳内妄想を膨らませながら百面相をしていた私は、目覚まし代わりの携帯電話のアラームに、ハッと現実に引き戻された。