黄昏色に、さようなら。
校門には、おそらく『仁王様』こと、生活指導の山崎先生が立っているはず。
山崎先生は、バリバリの体育会系。
剣道部の顧問もしていて、規則に厳しいので有名だ。
生徒の服装・頭髪チェックに生きがいを見出しているんじゃないかと思うほどの熱心さで、毎朝、校門に立っている。
そう、仁王様よろしく、鋭い眼光を放って校門に立っているのだ。
入学当初、色素の薄い地毛でさえ『染めているのじゃないか』と、一度は注意を受けている純ちゃんは、先生に顔を覚えられているはず。
第一、このカラフルな髪が、見とがめられないはずがない。
そして、案の定。
「か、加瀬……?」
純ちゃんを認めた先生の顔は瞬間湯沸かし器のように上気し、ただでさえ怖い三白眼が血走って更に迫力を増している。
こ、怖すぎっ。
「なんだ、その髪の色はぁっ!?」
校門前に漂うピリピリとした空気を裂いて、山崎先生の重低音の怒声が響き渡った。