黄昏色に、さようなら。


恐る恐る、


声の主を求め、ざわめき溢れる教室の中に視線を巡らせると、窓枠に背を預けて立っている、スレンダーな女子生徒がおいでおいでと手招きしている。


少し癖のあるセミロングの黒髪と、小麦色の肌。


健康そうな肌の色は日に焼けているのではなく、おばあさんが外国の人で、その遺伝らしい。


意志の強そうな綺麗な二重の瞳は、いつも何かを追って生き生きと輝いていて、


優柔不断な私には到底真似できない、その行動力と判断力に、密かに憧れていたりする。


良子ちゃんこと、坂宮良子。


中学からの付き合いの、私の一番気の置けない女友達。


彼女は、もう引退したけど、元新聞部初の女部長でジャーナリスト志望。


ゴシップの陰に隠れている人間の内面を突き詰めていくことに、至上の喜びを感じるのだという。


日頃、どちらかというとポーカーフェィスな良子ちゃんの、この満面の笑顔は、インタビュー全開モード――に見える。


これは、さっきの純ちゃんの連行劇を見てたなぁ……。

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