黄昏色に、さようなら。
一時間目二時間目と、授業が過ぎていくうちに、
最初はクラス中の注目の的だった純ちゃんのオレンジ頭も、見慣れてきたのか、誰も気にしなくなっていた。
一番の原因は、とうのご本人様がさして、というか全く気にしていないことにあると思うけど。
実は私も一時期、この潔いくらいに真っ黒ストレートなセミロングの自分の髪を『少し明るくしてみたいなぁ。ふわふわにパーマをかけてみたいなぁ』、などと思っていた時期があって、
オシャレの観点から見るならば、純ちゃんの行動もなんとなく理解できる気がした。
でも。
どうしても、不可解なことがあった。
三時間目の休み時間。
良子ちゃんと二人でトイレに向かった私は、付かず離れず後ろを尾行してくる人物の気配に気付き、ピタリと足を止めた。
「どしたの、風花?」
「ごめん、先に行ってくれる?」
突然足を止めた私を不思議そうに見つめる良子ちゃんに、そう言って先に行ってもらい、ギュッと両手を握りこんで、ゆっくりと振り返った。