黄昏色に、さようなら。
通り過ぎる間際、
純ちゃんの大きな手が、ポンとの頭に乗せられ、
どこか悲し気にポツリと落とされた呟きが、ますます私を混乱させた。
ごめんって、何が?
廊下に佇んだまま、ぼんやりと純ちゃんの言葉の意味を考えていた私は、用をすませて戻ってきた良子ちゃんに肩を叩かれ、現実に引き戻された。
「どしたの、風花。トイレ行かないの? もう休み時間終わっちゃうよ?」
「あ、うん……」
不思議そうに首を傾げる良子ちゃんに、コクリと頷く。
もともと、モヤモヤした頭をスッキリさせるために顔を洗いたかっただけだから、どうしても行かなきゃいけない訳じゃない。
でも、このままじゃ脳みそ爆発しそう。
やっぱり。
「顔洗ってくるから、先に戻ってて」
「う、うん、いいけど……」
形ばかりの笑みを良子ちゃんに向け、フラリとトイレの方に足を踏み出し、
数歩進んだ所で、クラリと視界が揺れた。