黄昏色に、さようなら。
街中を抜けた、人気のない森の道。
太陽の最後の残照が、私の手を引いて走る彼のシルエットを、薄闇の中にくっきりと浮かび上がらせる。
男性にしては、決して大柄な方じゃない。
でも、女性にしても小柄な私からすれば、見上げる位置にある彼の横顔。
無駄なモノがそぎ落とされたようにシャープな頬の輪郭と、高い鼻梁。
風を受けてなびく、サラサラなオレンジ色の頭髪。
その存在の一つ一つが、心を揺さぶる。
離れたくない。
ずっと、一緒にいたい。
こみ上げる想いが、懸命に動き続けていた私の足を止める。
「!?」
驚いたよう振り返る彼に、全身で息をつきながら、私はふるふると頭を振った。