7つ真珠の首飾り
「あの、ほんまにもう、大丈夫?」
「大丈夫だよ。目を覚ました時は、陸の生き物に見つかってしまったと思って、とても驚いたけれど」
「わたしもとても。驚いたわ。だって、こんな……」
思わず口をつぐむ。
いくら違う生き物のようだとはいえ相手は男性。
軽々しくこんなことを言うのは、気がひけると思ったのだけれど。
「こんな?」
「……うつくしい、生き物が、何の変哲もない砂浜に倒れていたものやから」
彼の言葉で促されると、言葉を舌先に留めておくことができなかった。
「ウロコのこと? 確かにこの色は、僕も嫌いじゃない」
ウロコのみならず、肌も髪も口も眉も瞳も何もかも全てを美しいと思ったのだけれど、さすがにそれを言うのは大胆すぎる気がしてできなかった。
「人魚、は、海の中で呼吸を?」
「ああ。陸にいる時とまったく同じように」
「何を食べるん?」
「貝類や海藻。魚も食べる。きっちり共存しているんだ」
「ここからどのぐらい潜るん?」
「とても深く……人間の体じゃ、耐えられないらしいね」
「つくりが少し違うんやね」
あまり矢継ぎ早に質問をしすぎたかもしれない、と思ったけれど、彼は変わらず穏やかな表情でわたしを見つめていた。
どんどん、知りたくなっていく。
彼がどうやって暮らし、どうやって生きてゆくのかを。
それはいつもやっている学校の勉強への興味とは、全く違った種類のものだった。興味の強さも。
初めて抱いた感情を、わたしは持て余していたのだと思う。
「大丈夫だよ。目を覚ました時は、陸の生き物に見つかってしまったと思って、とても驚いたけれど」
「わたしもとても。驚いたわ。だって、こんな……」
思わず口をつぐむ。
いくら違う生き物のようだとはいえ相手は男性。
軽々しくこんなことを言うのは、気がひけると思ったのだけれど。
「こんな?」
「……うつくしい、生き物が、何の変哲もない砂浜に倒れていたものやから」
彼の言葉で促されると、言葉を舌先に留めておくことができなかった。
「ウロコのこと? 確かにこの色は、僕も嫌いじゃない」
ウロコのみならず、肌も髪も口も眉も瞳も何もかも全てを美しいと思ったのだけれど、さすがにそれを言うのは大胆すぎる気がしてできなかった。
「人魚、は、海の中で呼吸を?」
「ああ。陸にいる時とまったく同じように」
「何を食べるん?」
「貝類や海藻。魚も食べる。きっちり共存しているんだ」
「ここからどのぐらい潜るん?」
「とても深く……人間の体じゃ、耐えられないらしいね」
「つくりが少し違うんやね」
あまり矢継ぎ早に質問をしすぎたかもしれない、と思ったけれど、彼は変わらず穏やかな表情でわたしを見つめていた。
どんどん、知りたくなっていく。
彼がどうやって暮らし、どうやって生きてゆくのかを。
それはいつもやっている学校の勉強への興味とは、全く違った種類のものだった。興味の強さも。
初めて抱いた感情を、わたしは持て余していたのだと思う。