7つ真珠の首飾り
そんな時にはやはり、どうしても違いを感じてしまうのだ。

わたしにとっての当たり前が彼にとってはそうではなく、逆もまた然り。
近いようで遠いその国とは環境はもちろんのこと、文化面や生活面でかなりの差異があるようだった。


だけどそれらは、必ずしもわたしを悲しませるものであるとは限らなかった。

文化に違いがあって、そこから生まれる考え方の差は、それは、あるからこそわたしたちの会話を充実させたのだ。


ティートとわたしを強く結び付けていたのも、また時折お互いを遠く感じさせていたのも、わたしたちは別の生き物であるというその事実だったのだ。


それは何となく理不尽であるような気もしたし、もっともであるような気もした。

少女にはなんとか分別心が備わってはいたが、それはまだまだ未発達なものだったのだ。




2、3日で十二支をすっかり覚えてしまったティートは、今度はそれを海の中の世界で応用しようとした。


「……結局、判断の基準は太陽になってしまうから、季節との相関も考えると、難しいことに代わりはないんだけどね」


ティートは何やら難しい図を書きながら、難しいことを言った。


「ただ名付けがあるに越したことはない。いつまでも曖昧なままじゃよくないとは思ってたんだ……」

「ようわからんけど、いいんやない? お天道様とはどうしたって、切っても切り離せない関係にあるんやから」

「確かに、それもそうだね。繋がりを忘れてはいけないね」


ティートがなるほどと言って共感してくれたのでわたしはにっこり笑った。
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