月の恋


『いっただきまーーす』

うん!やっぱ美味しい見た目はアレやけど味は最高ーー!!


料理を頬張る生綉姫を見て咲羅はこの後のことを言うため口を開く。


「……おい」

『ん?何~?』

「……この後お前は部屋に帰るなよ」

『は?何で?食べたら戻るに決まってるやん』

「………それは駄目だ」

『だから何で?』

「………鬼壟様の部屋で初夜を『ブーーーー!!!』」

「うわっ!!」



生綉姫は咲羅の言葉を途中まで聞くと口の中の食べ物が綺麗に生綉姫の口から飛び出して行った。





ななななっ!今何言うた!!


生綉姫は口元を手の甲で拭うとそのまま咲羅の方に体を向けた。


「………何だ?」

『なななななっ何だじゃないでしょ何だじゃ!!』

「……今更何をそんなに慌てる」

首をコテンと傾けた咲羅に生綉姫は慌てて言葉を続ける



『いやいやいや!何でうちがあの変態の部屋に行かなあかんねん!!』

「……当たり前だ」

『だから!何で!?』


咲羅は慌てながら詰め寄ってくる生綉姫に一つため息をついて声を発した。


「……夫婦になれば当たり前だ」

『……………』

「……………」

『……………はい?』

「……………」



しばらく沈黙が部屋を包んだが……





その沈黙は





『はああああぁぁぁぁ!!!』



生綉姫の叫び声で破られた。


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