月の恋
「…え?」
生綉姫の出した答えに驚いた水元の口からは素っ頓狂(すっとんきょう)な声がでた
「いや…待て…待てよお姫様?」
『…何?』
『お姫様は鬼壟が嫌いなんじゃ………だよね?」
自分の中で確信に近かった推測が水元の中で崩れ始める。
『嫌いに決まってるやん!』
「じゃ…何で分からないなんて…」
嫌いになら夫婦になるのなんて嫌に決まってる
俺の質問に“分からない”ではなく“ならない”が正しいはずた
部屋に入ってきた時から鬼壟に対して少し敵意を持ってたし
隣に座れと言われれば露骨に嫌な顔を出してあの鬼壟に逆らうし…
鬼壟に求婚をされて頬を赤らめたと思ったら次には投げ飛ばしてるし
嫌いなんだよね?
普通好きな相手投げ飛ばさないよね?
じゃやっぱりコイツ……
要らないよね?
自身の推測に間違いは無いと思った水元は右手を生綉姫へと伸ばす。
だが生綉姫の言葉はまたしても水元の推測を崩してく
『分かるわけないやん!たった2、3日前に会った奴に何でうちの人生決めなあかんねん』
ーーーーーーピタッ
水元の手が動くことを忘れたかのように止まる。