月の恋
『だって普通に考えてたった数日で自分の人生捧げる人かどうかなんて分かる訳無いやん』
「………」
『好きになるまでは分かるで?この世界には一目惚れちゅー摩訶不思議(まかふしぎ)なもんがあるし』
「………」
『でもアレはマジ不思議やんな~だって目合った瞬間、体に電気が走んねんで!これは恋だ!って思う前に体大丈夫?って話しやない?』
「……ねぇ」
『それに誰かを好きなる瞬間って分からんよなみんな気づいたら好きってなってたりするんやろ?不思議やんな~』
「……話し」
『でもいっちゃん不思議なんは…「話しずれてるよ?」』
いつまでも止まることのない本題からずれた話しに水元は呆れ顔で目の前の生綉姫を見る
『あ…』
本当に気づいていなかったとばかりに間抜けな顔をする生綉姫を見た水元は…
「ふっ…はははは!」
『ちょっ!笑うな!ちょっとずれただけやん!』
突然笑いだした水元に生綉姫は顔を赤くさせ立ち上がりながら水元に怒鳴る
「次は開き直りかよ!ははははっ」
『だっだから!うちが言いたいんはっ!たった数日じゃ相手のこと何も分からんし何も分からんまま好きでもないのに結婚したってお互い幸せやないやん!』
今だ肩を震わしてる水元を見下ろしながら生綉姫は声を荒げる
そんな生綉姫を水元は下から見上げて…
「じゃ…鬼壟をちゃんと知れたら結婚するんだね?」
『なっ!』
固まる生綉姫に水元はそのまま言葉を続ける。
「だってさっきお姫様そう言ったよ?よくも知らない相手には嫁(とつ)がない…じゃ相手を知ったら結婚できるよね?」
『ちがっ!あいつはっ』
ーーーーーーグイッ
『っ!』
反論しようとした生綉姫の手首を水元は掴むと自分の方に引っ張る
倒れてくる体を受け止めるとそっと耳に唇をあてて呟く。
「楽しみだね?……生綉姫」
その言葉と共に耳にキスを落とす
ーーーーチュッ
固まってる生綉姫から少し体を離し
「俺は水元よろしくね」
さっきとは違う“本当の微笑み”を生綉姫に向けた