月の恋
だが微笑みを向けられた生綉姫は…
『ぎゃややややややーーーーーーー!!』
ありったけの声を出し水元から思いっきり離れた。
「そんなに離れないでよ傷つくなぁ~」
嘘こけアホんだら!!
ちっとも傷ついとらんやん!!
つーか!さっきっ!
『何すんねんっ!!』
顔を茹鮹(ゆでだこ)のように赤くした生綉姫は右耳を両手で押さえ水元に怒鳴る
「何って?キス?」
コテンと首を傾げた水元に生綉姫は口をパクパクさせる。
そんな生綉姫が面白かったのかまた水元は肩を揺らして笑い出し
「クククッ……なんならもう1回してあげようか?」
『ひっ!!』
水元の言葉を聞くや否や生綉姫はまた水元から距離をとる。
また笑い出した水元に呆れ声が届く。
「水元そのへんにしとけ鬼壟に怒られんぞ」
「クククッ…あぁ雷寺か、けっこう飛ばされてたけど大丈夫?」
「あぁ…つーかお前アレで遊ぶなよ」
雷寺はアレと言いながら今だに後ろに逃げてる生綉姫に視線を向ける。
「だってつい反応が……ね?」
悪びれた様子もなく笑う水元に雷寺は深いため息を落とした。
「おい…生綉姫こっち来い」
雷寺は生綉姫に向かって手招きをするが無理とばかりに生綉姫は首を激しく左右に振る。
ーーーだが
「はぁぁーーー…根性無しかよ」
雷寺が呟くや否や生綉姫は部屋の角(すみ)から猛スピードで雷寺に向かって走ってくる
『だーれーがー根性無しじゃーーー!!』
ーーーーードーン!!
「ぐえっ!!」