月の恋
ーーーーズッドーン!!
「ラリアット……?」
部屋の中に太奇の小さな呟きが広がる。
そして雷寺が飛ばされていった方向を誰もが見た後、同じタイミングで雷寺とは反対方向に立つ少女へと目を向ける。
『ふんっ!これで文句ないやろ!』
生綉姫はドタドタと歩きながら座ってこっちを見てる水元の横に…………は座らず
水元の右隣りにいつの間にか座っていた太奇の横に座った。
「………」
あくまで俺の横には座らないか
本当飽きない子だ…
水元は生綉姫を見ながら口の端を微(かす)かに上げる。
そして水元は生綉姫が拒むのを知ってて声をかける。
「ねぇ…お姫様?こっちからじゃ顔見えないんだよね、……こっちにおいでよ」
『うちの顔見ても何の得にもならんと思います』
変なカタコト敬語を聞きながら水元は愉快に生綉姫に声をかける。
「俺はお姫様の顔見たいな~」
呑気(のんき)にニヤッとしながら言う水元を怪訝な表情で見ながら生綉姫は口を開く。
『その“お姫様”って嫌やねんけど』
「……………そう?可愛いよ?」
あの怪訝な表情はそっちね…
生綉姫は水元から目線を外し少し疲れたように呟く。
『うちそんなキャラちゃう』
「…………」
本当に…………君は変わってるね
水元は目の前の生綉姫を少し微笑みながら見つめる。
女の子なら誰だって一度は姫という“名”に憧れたりするのに
君はそんなモノは求めないと首を横に振る。
だけど……
『うちは天上 生綉姫(てんじょうみつき)ちゅー名前がある』
だけどね……
「そっか……じゃ~みっちーで良い?」
『却下!!』