月の恋
「……い…おい…」
…誰やねん…
「…起きろ」
うっさいな~うちは眠たいんや
「てめぇ…」
生綉姫は自身の瞼を少しも開けることなく眉間に皺をつくり心の中で悪態をつく。
そして夢の中へとまた片足を入れかけた……瞬間。
「起きやがれーーーーー!!」
先程までとは違う声の大きさと体が傾く感覚に生綉姫は…
『は!え?うわっ!…ぎゃ!』
気づいた時にはすでに床に顔面をダイブさせていた。
『っ~~~!いったぁ…』
生綉姫は痛む顔に手をおきさっきまで自分がいたであろう場所にゆっくりと目をむけた。
そしてその視線の先にいたのは…
『………は?』
『はあああぁぁぁーーっ!!!』
「…うるせぇ」
『っ!うるせぇ…ちゃうわ!何であんたがこんなとこおんねん!!』
生綉姫はベットの上で横になり見下ろしてくる鬼壟に叫び続ける。
『ここはうちの部屋やろ!?』
「ここは俺の屋敷だ」
『…っ…………』
た…確かに
「…違うか?」
生綉姫が反論しないことを肯定とみて鬼壟は自身の口元に笑みを描いた。
「……それに」
鬼壟はゆっくりと起き上がりベットへと腰掛けると床に座ったままこちらを悔しそうに睨み付けてくる生綉姫を見下ろす。
「自分の女の部屋に入って何が悪い?」
『……部屋間違ってません?』