月の恋
始まりを告げる、鐘の音…
『うぅ~何か寒気する~』
もうすぐ夏も近づいて来てんのにさっきから寒い
風邪でもひいたかな?
ここを曲がれば賑やかな商店街、反対に行けば桜並木……
ドン!
『っ!いった~あっすいません!』
誰かにぶつかって尻餅をついたまま顔を上げて謝る…と
はぁ?
あらまぁ~摩訶不思議
目の前に顔面を布に覆って目しか見えない人達に囲まれているでわありませんか?
ってボケてる場合ちゃう!
『誰?てか何!?』
「我々は『だぁー言わんで良い!聞きたくない!』…」
そんなもん“我々の”あとに続くもん言うたら一つだけ!夏!誰もが1度は扇風機の前でする
『宇宙人しかないやんけー!!』
うちの絶叫が木霊するなか沈黙が辺りを包む……
「……時わ満ちた。お迎えにあがりました姫」
先に沈黙を破ったのは向こう
ん?今コイツ何言うた?
サァーーーー
本日2度目の鳥肌立ちま~す
「…さぁ。姫」
とか言いながら一歩近づいてくる
目の前まできて手を出し…
バシッ!
『姫ってなんやねん!人違いや!それ以上近づくなーー!』
出してきた手を叩いて離れると同時に奴らのいない反対側の道に全力疾走する
そう…桜並木の方へ……。