月の恋


「着きました」


その声と同時に降ろされていた布が上がり下りるように言われた。


生綉姫が下りてまず目に入ったのがあまりにも大きいお寺みたいな建物が目の前にあった。


『すご…』


建物に見入って呆然と立つ生綉姫に優しい声がかけられた。


「お待ちしておりました姫」

『っ!!あんた!』


声をかけられ目の前を見るといつの間に居たのか声をかけてきた人物は生綉姫をこの摩訶不思議な世界へ連れてきた張本人。



「紹介がまだでしたね…私のことは蒔騎(しき)とお呼び下さい。さぁ…こちらへ」


今すぐにでも叫んで蒔騎に文句を言をうとした生綉姫に

「黙ってついて来て下さい」と目で伝えた蒔騎はそのまま前を歩いて行く。


『………』


生綉姫は何か不意に落ちなかったものの黙って蒔騎の後に付いて建物に入る



「ここは妖怪が集まる場所です。あまり目立たないようお気をつけて下さい」

前を歩いてる蒔騎が急に話しかけてきた

『…妖怪って…どーゆうこと?』

「私が鬼だということは覚えていますか?」

『…うん』
あたりまえや…もろ“角”見せられてんから

「でしたら…いや…貴女には説明より見て頂いた方が分かりやすいと思います」

「彼等が人間ではないと貴女ならすぐに分かるでしょう」など呟き、ある部屋の前でとまる


< 19 / 118 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop