月の恋




本当は探すつもりなどなかった


あの場で妖怪たちに食べられようが遊ばれようが気になどしなかった。





……ただ




部屋に入ったときからコイツの目が怯えていないことが面白かった。


あの部屋にいた妖怪たちはそれなりの力をもったものたち

同じ妖怪や鬼ですら始めてあの部屋に入れば邪気に怯えるだろう






だがこの女はどうだ…


妖怪どもに怯えるどころが睨みつけ戦意を含んだ目で見ている


俺と目が合ってもそれが衰えることなく何も無かったように目を反らした





ありえないことだ。

俺と少しでも目が合えば同じ妖怪ですら誰も反らすことなどできない。



だから次は押さえることなく力を出しその目を見つめた


だが…答えは同じ




それでも…俺は対して興味をもたなかった

ーーたかが人間


俺が席に戻ろうとした時

小さい声が聞こえたかと思った瞬間、すごい剣幕で怒鳴られていた


何が起こったなんて分かったもんじゃない

ただ…


目の前の小さな少女がその瞳に涙を溜め、俺を睨んでいた



さんざん怒鳴り散らしたかと思えば次の瞬間には目の前から消えていた

足音だけが遠くの方で聞こえる




「…何なんだアイツは?」

自分の口元が上がるのが嫌でも分かった。



その後はすぐ部下に命をだし探させた



これから何百年も生きて行く俺にとってこんなにも面白いとはめったに無い。



なにより

確かめたいことができた…



コイツはもしかしたら…


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