月の恋
「ほんと生綉姫(みつき)もよくやるよな~家早く出てるくせに遅刻するとかほんますごいわ」
そんなことを言ってくるのは前の席に座る幼なじみの真山 美羽(まやま みわ)
『だって仕方ないやん会えるん朝だけだし』
「でもいい加減止めたほうが良いで、見つかったら、向こうからしたら変質者やし…ほら今多いやん!」
美羽の言葉につい最近、頻繁に起きてる事件を思い出す。
『あぁ~今朝もニュースでやってた行方不明ってやつ?』
「そう!女の子が急に消えちゃうやつ!今だ誰一人として見つかってない。それもぜ~いんうちらと同じ歳ばっか!気い付けろって親もうるさいし、やばいで~絶対」
『でも消えてるん夜って言うやん』
「そんなんわからんよ~早朝なんてほとんど人なんておらんし、あの桜並木なんて裏道やから誰もとうらんし」
たしかに…あの桜並木はめったに人が通らん
夜はとくに一人で通れんわ…めっちゃ暗いし怖い
「まぁ気おつけや~」
『うん、分かった』
美羽の言葉に返事をしたと同時に休み時間を終える音と先生が教室に入ってくる音が響いた。
授業が始まって数分…生綉姫は苦手な数学を聞きながらだんだん落ちてくる瞼(まぶた)に勝てずゆっくり目を閉じた。