月の恋


暴れるのを止めた生綉姫は鬼壟の震える腕に困惑しながらも答える。



『…亜紀子(あきこ)や。天上 亜紀子、元は石川 亜紀子やけど…』


『それがどうしたん?』と聞こうとした時にはすでに鬼壟は生綉姫を離し部屋から出て行ってしまった後だった





………………………。




『だぁ~かぁ~らぁ~何やねん!!』



生綉姫の叫びは誰にも届くことなく消えていった


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