月の恋


ーーギィ…ギィ

歩けば軋む床


鬼壟はいましがた起きた出来事にまだ混乱していた



どういう…ことだ

あの人は14年前に亡くなったはずだ
その時に一緒にあの子も…

人違いだ…
母親だって違ったじゃないか!



だが“天上”なんてそこらへんにある名じゃない。

たった一人しか名乗ることのできぬ名
選ばれし者だけが貰える名



でもさっき抱きしめた時もアイツからは人間の匂いしかしなかった!!


だけど、もしあの子が生きていたらアイツと同じ歳…それに同じ名だ






「ダァーッ!わっかんねぇー!」

手で髪を乱しながら自分の中で起きる葛藤に苛立ちを覚える


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