月の恋
一人で廊下の真ん中に俯せになり、生綉姫は自分の両手をグッパしながら不思議そうな顔をしている。
「姫?…大丈夫ですか?」
生綉姫の側まできた蒔騎はしゃがみ込み生綉姫の顔を見た
『大丈夫もなんも急にこけてもうた!何でー?』
「俺の術がきかねぇわけねぇ~だろ」
生綉姫は上半身を起こし真横に立ってこっちを見下ろしてる鬼壟に『術?』と首を傾げる。
首を傾けた生綉姫を見て蒔騎は“術”の説明をしようした瞬間…
『あんた魔法使いやったんかー!』
など目を輝かせて鬼壟を見つめる。
子供が新しいおもちゃを今か今かとウズウズしながら待つあのときのような目で…
「うっ」
案の定、鬼壟は一歩後ろへと下がっている
『あんた案外すごかってんな!プライド高い変態で器の小さい男だけやなかってんやな~すごいわ~~…なっ!他に何かできんの?物浮かしたりとか、空とかも飛べるん?』
あぁ~ぁ、鬼壟に対してそこまで言ったら怒っちゃうな……ほら~ドス黒いオーラが出てる
蒔騎が苦笑いをして眺めてると
「あ゛あ、うるせぇ~ガキを黙らすこともてきるぜ」
『え?』
鬼壟が言い終った時には生綉姫の前に手を翳(かざ)していた。
瞼が落ちてゆき生綉姫はまた深い眠りについた……。