月の恋
ーーーーつーた
な…に?
ーーーみーけた
え?
ーーーみつけた
『……っ!!』
ーーーかばっ!
「どうかしましたか、天上さん?…まさか寝てたんじゃないでしょうね?」
急に頭を上げた生綉姫はどうやら目立ってしまったらしく
授業をしていた数学の教師、河田に睨まれる。
河田は何故教師になったのか…というぐらいに生徒の失敗やちょっとしたことでよく嫌味を言っているのであまり生徒には好かれていない
…と言うよりも生徒の中では“鬼ババ”とまで呼ばれている。
そんな河田に睨まれた生綉姫は大人しく返事を心掛けているが…
『はい』
「ほんっとに貴女みたいな人がいるから風紀が乱れるのよ!」
『…すんません』
河田は鼻息荒く文句を言ってくる。
だが生綉姫には河田の怒鳴り声よりもさっき自身の耳に聞こえた声が気になってしかたがない。
『………』
なんや今のん?夢か?
急に聞こえてきた声…聞いたことあるような無いような
ふと生綉姫は視線を窓の外に向ける。
ん?誰かおる?
生綉姫が見た先は学校の入口…校門がある場所だ。
ちょうど門の処に誰かが…立ってる?
『……え?』
ーーニコ…
『…っ!』
ーーガタッ!
えっ!
『うそやん!!』
急に立ち上がった生綉姫の大声にクラスのみんなが生綉姫を見る。