月の恋


「おやめなさい」




騒ぎの中その声は凜っと響きわたった。





「…暁岾(あきやま)さま……」






黒い着物に流すように描かれた金の華

派手でもなく地味でもなく凜っと品のあるその美しい着物を纏いゆっくり生綉姫たちへと近づいてくる人物に誰もが息を飲む…



「…何をしているのですか?」


その声は近くで聞けば聞くほど美しく恐ろしいほどの威圧感をもっていた。



なんや…この人、やばいで…
こんな近くでも息詰まりそうやのに…

生綉姫はチラッと横を見た

大丈夫かいなこのハデハデ姉ちゃん。めっちゃ顔色悪いで…





「あ…っ暁岾さ…ま」


さっきまで生綉姫を馬鹿にしていた時の声と、あまりにも違う弱々しい声が横から聞こえた。


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