月の恋
「鈴…何をしているのか?と聞いているのです」
「いえ、な…何も」
「でわ、この人だかりは何です?」
暁岾はゆっくり周りをみわたす。その途端、何処からか「ひっ…」と小さい声が出たかと思うと皆、いっせいに平伏した。
な、なんや!!ほんまこの人何者ーー!
生綉姫は暁岾の顔を眼識した
『っ!』
顔を暁岾に向けた時には暁岾はすでに生綉姫を見ていた。
そして目が合うとまた視線を鈴へと向けた
「もっ!申し訳ございません」
鈴は崩れるように土下座し頭を廊下にこすりつけ震える声で謝る。