月の恋
「でわ…天上様」
『は、はい!』
「先程の鈴の処分の事で「あっ暁岾様ー!」」
暁岾の声を消すぐらいの大声が生綉姫たちがいる廊下に響き渡る。
暁岾はゆっくりと声がしたほうに体を向け着物の裾を持ち必死に走ってくる人物を待つ、そして…
「何事です…柚(ゆず)」
自分の元にたどり着き肩で息をする少女を見下ろしながら問う。
「ハァハァ…っ!先程、腹痛で動けなくなった者が10名ほど出、今宵の集会の準備が遅れてしまっています!これでわ間に合いません!ど…どうすれば!!」
「…落ち着きなさい」
「っ!ですが!!」
「集会が始まるのが子(ね)の刻、今朝、華技(はなぎ)から猿の刻に戻ると連絡が来ました…華技が戻りしだい皆でやればまだ間に合う、それまでこの鬼族の女子すべてを集め何とか少しでも間に合わせるのです…もちろん伯牢の者も集めなさい」
「えっ!?は、伯牢もですか!ですがあの者達は「良いのです。すぐに集めなさい」」
暁岾の有無を言わさない声に柚は静かに頷き皆を集めにまた走り出す。
柚が走って行くのを見届けた暁岾はこれから起こることを考える、そんな暁岾に遠慮気味に声がかかった。
『あ…あの~何かうちも手伝いましょか?』
「え?」
『いや!何か人手がほしそうな気がして…うちで良かったら何か手伝いますよ!』